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中国石油がステーブルコイン活用を視野、香港の規制整備に注目集まる

中国石油(CNPC)がステーブルコインに関心を示し、国際決済利用の調査を開始予定であること
香港金融管理局(HKMA)が2025年8月に施行したステーブルコインライセンス制度の動向が注目されていること
CNPCの関心は人民元の国際化やブロックチェーン技術を活用した送金効率化など、国家戦略とも関連している可能性があること
ライセンス制度の開始直後であり、発行者はまだ存在していない段階であること
影響を受ける可能性がある仮想通貨(USDT、CNY建てステーブルコイン、XRPなど)が今後注目される余地があること

中国石油(CNPC)、ステーブルコインに関心表明

背景

中国最大手の国有エネルギー企業である中国石油(CNPC)が、2025年上半期決算説明会において、香港金融管理局(HKMA)が進める「ステーブルコイン発行ライセンス制度」に強い関心を示したことが明らかになりました。また、ステーブルコインを活用した国境を越えた決済や支払いの実現可能性を調査する予定であるとも発表しています。

香港のステーブルコイン制度の概要

香港では2025年8月1日より、「ステーブルコイン条例(Stablecoins Ordinance, Cap. 656)」が施行されました。この法律により、ステーブルコイン発行者には HKMAによるライセンス取得が義務付けられ、発行体は準備資産の備蓄、リスク管理体制の構築、サイバーセキュリティ対策など、厳格な要件への対応が求められています。

制度発効前には、HKMAが7月29日に発行者向けのガイドラインを発表し、準備金の要件やKYC(本人確認)、マネロン対策、事業の長期運営能力などの要件が盛り込まれました。

ライセンス取得の現状と今後の展望

現時点ではHKMAによるステーブルコイン発行のライセンスはまだ一件も発行されていません。HKMAは慎重な姿勢を強調しており、初期段階ではごく少数のライセンスしか認めない見通しです。そのため、CNPCを含む関心を示す企業は、HKMAと事前に相談・申請意向を示すステップを踏んでいます。

ライセンス第1号の発行は早くとも2026年初頭になる可能性が高く、この過程においてCNPCは慎重に制度の動向を見守る姿勢です。

なぜCNPCが注目するのか

CNPCがステーブルコインに関心を示す背景には、次のような狙いが推察されます。

  • 国際決済効率の向上
     従来のSWIFTなどを介した決済に比べ、ステーブルコインによって即時性とコスト削減の恩恵が期待できます。
  • 人民元の国際化促進
     人民元をステーブルコインとして活用することで、国際貿易における人民元の使用割合を高める狙いがあります。
  • 政府の支持と戦略的背景
     中国政府は人民元を基盤としたステーブルコインの開発に慎重ながら前向きな姿勢も示しており、参加企業には一定の後押しがあると考えられます。

今後の見通し

CNPCは現段階でステーブルコイン発行の意向を正式に表明したわけではなく、制度の動向を見極めながら調査フェーズにあります。CNPCと同様に、スタンダードチャータードなど一部の企業は共同でライセンス取得に動き始めており、今後の制度導入推進には注目が集まっています。

HKMAは市場の過熱や過度な期待を抑制するため、ライセンス申請やコミュニケーションには慎重な姿勢を呼びかけています。

想定される価格変動コインと影響分析

コイン名影響度理由
USDT(テザー)中〜高国境を越えた決済手段として最も広く使われているステーブルコイン。中国や香港の新制度との整合性や競合により注目度が高まる可能性があります。
USDC(USDコイン)同様に広く利用されているが、発行元が米国企業であり、地政学的な懸念から中国圏では制限される可能性があり影響は限定的です。
DAI(ダイ)分散型ステーブルコインであり、中国の国策とは方向性が異なるため直接的な影響は少ないと考えられます。
e-CNY(デジタル人民元)※参考ブロックチェーン上のトークンではないが、CNPCの動きは中国政府のデジタル人民元の国際決済利用と連動する可能性があり、注目が高まります。
ONYX(JPモルガンの決済通貨)国際決済領域で競合する民間の決済プラットフォーム。中国系プレイヤーの動向は影響を与える可能性があります。
CNYステーブルコイン(想定)香港制度を活用して発行される可能性がある人民元建てステーブルコインは、中国系企業による利用が進むと見られ、価格変動というよりは流通量と需要に大きな影響を与えます。
XRP(リップル)国際決済への利用を目的とした設計であるため、アジア圏でのステーブルコイン利用拡大がポジティブ要因となる可能性があります。
TON(The Open Network)低〜中テレグラム経由でアジアユーザーに人気があり、中国系ユースケース次第で副次的な注目を集める可能性があります。

※デジタル人民元(e-CNY)は暗号資産ではありませんが、同様の文脈で言及されるため参考に含めました。

他にも中国や香港の法制度下で新たに発行される独自ステーブルコイン(企業連携型など)は、今後の制度整備次第で新しい投資対象として浮上する可能性があります。引き続き規制とマーケットの動きを注視することが重要です。

注目銘柄の推移まとめ

銘柄/資産名価格推移・出来高などの状況
PetroChina(H株:0857.HK)直近価格:HKD 7.51(前日比 +1.73%)52週レンジ:HKD 5.07~7.90概況:原油価格下落にもかかわらず株価は底堅く推移。アナリスト予想では平均価格目標はHKD 8.20、最大でHKD 10超の可能性あり(Buy推奨多数)
USDT(テザー)価格:ほぼ$1.00で安定。過去1週間~1か月での乖離はほぼ無し(24時間でも±0.01%以上の変動はほぼゼロ)出来高:直近24時間の取引量は約$141B~$151B規模、非常に高い流動性を維持
USDC(USD Coin)価格:やはり$1.00付近で安定(24時間で±0.01%以下の微動)、1週間~1か月でも変動なし出来高:24時間の取引量は約$20B程度
Bitcoin(BTC)価格:約$108,376(直近で-3.55%程度下落中)<br>これは、投資家がデジタル資産全般の見直しに入っている可能性が示唆されます。ステーブルコイン関心が伝統的に価格変動資産への注目を分散させる傾向もあります。 |

解説・見立て

  • PetroChina株(H株)は、原油市場の下落影響もあって半期利益も減少していますが、投資家の期待(ステーブルコインなど新たな決済手段への関与)が価格を下支えしている様子が見受けられます。アナリストの目標株価も控え目ではないため、今後の動きに注目です。
  • USDT / USDCは共に1ドルペッグが安定しており、価格変動の可能性は低いものの、決済や流動性面では拡大・注目の兆しがあります。特にUSDCは発行元のCircleが拡大戦略を進めており、資金流入や利用拡大が期待されています(IPO後のQ2売上+53%など)。
  • Bitcoinなどの市場価格変動資産は今回のステーブルコインへの関心とは直接的な相関は薄いものの、仮にステーブルコインが国際決済に広く使われるようになれば、仮想通貨全体の資金流動性にも影響を及ぼす可能性があります。

全体として、CNPCのような大規模企業がステーブルコインに関心を示すニュースは、関連資産に対して注目が高まり、潜在的に価格や取引動向にも影響する可能性を示唆しています。

過去の類似事例との比較

以下は、中国石油(CNPC)がステーブルコインへの関心を示した今回のニュースと、過去や周辺で似たような取り組み・動向を比較した内容です。

比較のチェックポイント

類似事例主な内容比較ポイント
テック大手(JD.com、Ant Group)のオフショア人民元ステーブルコイン推進香港を拠点に人民元ペッグのステーブルコイン発行を人民銀行に提案し、国際決済の効率化と人民元の国際化を目指す 中国の非金融系企業による決済革新への関心。CNPCのように国有企業が関与するケースとは異なるが、目的は共通:人民元活用の拡大。
上海規制当局によるステーブルコイン政策検討上海の国有資産監督委員会がステーブルコインやデジタル通貨への戦略的対応を審議。JD.comやAntへのライセンス申請推進も議論される地方金融当局による制度設計の加速と試行的姿勢。CNPCのような企業の動きと制度側が連動し始めている点が共通。
中国国務院の人民元ステーブルコイン検討2025年8月21日の報道では、国務院が人民元ステーブルコイン導入の方針を検討中。21世紀的金融イノベーション戦略の一環として位置づけ政府主導レベルでの制度構築・方向性設定。CNPCの調査開始は、この政策検討を受けた企業側のアクションと見なせる。
石油貿易における「ペトロ元(Petroyuan)」の歴史2017年以降、中国がロシアなどとの石油取引に人民元で決済する「ペトロ元」を推進。ドル依存からの脱却を図る戦略石油貿易での人民元使用を拡大する従来の戦略と、ステーブルコイン活用という金融インフラ革新がつながる視点。CNPCの動きはその延長線上にある。

これらの事例と比較すると、今回のCNPCによるステーブルコイン調査は「中国の金融・通貨政策、企業戦略、石油貿易戦術」が交差する重要な局面といえます。

  • テック系企業の動きよりも、より実需性や政府戦略と密接する点で異なります。
  • 上海や国務院レベルの検討と同時進行で、実務検討(調査)が進められている点が注目されます。
  • 従来の「ペトロ元」戦略の延長として、デジタル通貨を使った決済手法への移行とも関連しています。

今後は、制度整備(HKMAライセンス制度や国務院の方向性)と企業側のアクション(ライセンス申請・調査結果)がどのように噛み合っていくのかが、注目されるポイントです。

コメント・意見のまとめ

中国国内の反応(一般SNSなど)

中国のSNSでは、多くの声が「人民元ステーブルコイン」を肯定的に受け止めています。以下はその代表的な反応です:

「人民元ステーブルコインは良いニュースだ」
「一般の中国人にとって、クリーンな資金チャネルができる」

これらの声からは、オフショア人民元市場の拡大や、個人向け決済の透明性向上に対する期待が伺えます。

元中国人民銀行総裁・周小川氏の慎重な見解

  • 周小川氏(元PBoC総裁)はステーブルコインに対して強い警戒心を示しています: 「ステーブルコインの流通は、準備金が十分でないままでの通貨の過剰発行につながり、レバレッジによってリスクを増幅させる可能性がある」
    「トークン化システムが従来の口座ベースの支払いに取って代われるかは疑問だ」

さらに、NextMoney の記事では以下のように明言しています:

「ステーブルコインが資産投機に過度に利用されるリスクに警戒すべきだ」
「既存のAlipayやWeChat Pay、デジタル人民元で十分効率的かつ低コストな決済が可能であり、新たにステーブルコインを導入する意義は薄い」

これらからは、金融安定という観点からの慎重姿勢が明らかです。

アナリストの評価(Coincu)

Crypto 分析の立場からは、専門的視点で以下のようなコメントがありました:

  • Coincu のアナリストらは、この動きについて次のように述べています: 「ステーブルコインの探索は、クロスボーダー金融システムの改善や技術革新につながる可能性がある」

この見解からは、金融インフラのモダナイズを意図した実用的な期待が読み取れます。

中国当局の慎重な姿勢(発言抑制)

  • Bloomberg(ブルームバーグ)の報道によれば、中国当局は、ステーブルコインに関するセミナーや調査報告の公開を、証券会社やシンクタンクに対して自主的に中止するよう促しています。 「暗号資産に対する理解が不十分なまま投資家が殺到することを警戒している」

これは市場の過熱や誤解を防ぐために、当局が先んじて対応している姿勢を示します。

コメント・意見の一覧

発言者/出所コメント内容
中国国内の一般コメント「人民元ステーブルコインは良いニュース」「クリーンな資金チャネルができる」
周小川氏(元PBoC総裁)「過剰発行やレバレッジによるリスク増幅」「既存決済で十分」
Coincu アナリスト「クロスボーダー金融改革や技術革新につながる可能性」
中国当局(報道より)「投資家の過度な注目や混乱を抑制するため、発信を控えるよう促している」

考察

CNPCによるステーブルコインへの関心表明は、国有企業としての戦略的判断と見られます。国際的な送金・決済インフラの革新は、グローバル競争の中で中国の金融プレゼンスを高める一手です。特に、人民元の国際化という政策目標に資する動きの一環としても注目されます。

しかし、HKMAが示すように、ライセンス取得には時間と高いハードルがあります。CNPCにとっては、制度整備状況や規制動向、市場の成熟度などを見極めつつ、慎重に判断を進める必要があります。今後の調査結果や意思決定の動向を引き続きウォッチしていきたいと思います。

この記事がCNPCおよび香港ステーブルコイン制度の現況ご理解の一助となれば幸いです。

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