2億2,500万ドル相当のUSDTがピッグ・ブッチャリング詐欺に関連して押収
米シークレットサービス史上最大の暗号資産没収案件。
Tether社とOKXが初動で異常取引を通報し、当局と連携
規制遵守と透明性を重視する姿勢を明示。
Tetherは対象ウォレットを凍結・再割当する独自の協力体制を発揮
凍結されたUSDTをバーンし、新たに同額を再発行する高度なオペレーション。
規制機関・法執行機関(DOJ・USSS・FBI)との連携が進展
今後のステーブルコイン規制(例:GENIUS法)にも影響する可能性。
業界全体に「自主規制・協力姿勢」の重要性が再認識される事例
特にステーブルコインの信頼性回復と投資家保護へのモデルケースとされる。
Contents
事件概要
- 2025年6月18日、米司法省(DOJ)は、約2億2,530万ドル相当のUSDT(Tether発行のステーブルコイン)を、暗号資産を悪用した「ピッグ・ブッチャリング」(長期信頼詐欺)に関連して民事没収する訴状を提出しました。
- 米シークレットサービス(USSS)にとって、この史上最大の暗号資産没収となった摘発であり、FBIも捜査に加わっています。
ピッグ・ブッチャリング詐欺とは?
- 被害者との「フェイクロマンス」や親交を築き、“儲け話”に見せかけて資金を預かり、最終的に持ち逃げする詐欺手口。被害総額は2024年だけで58億ドルを超えており、米国では400人超の被害者が確認されています 。
捜査と摘発の流れ
Tether社とOKXが2023年に疑わしいアカウント群への資金流れを当局に通報。
その後、USSSとFBIが連携し、国際的なブロックチェーントレーシング技術を駆使し該当のウォレットを特定・凍結。
DOJがDC地区連邦地裁に没収訴状を提出し、没収された資金は被害者への返還もしくは政府の賠償基金となる見込み。
Tetherの役割と検証・凍結の手法
- Tetherは7つの主要高額USDTグループウォレットを特定し、これを凍結・バーンして同額の新発行USDTを政府向けに再割当。
- 自発的に2.7億ドル以上の不正資金を凍結し、255以上の法執行機関と55か国以上で協力してきたと発表。
米国側コメント
- USSSサンフランシスコ支部のBradstreet特別捜査官:「これはUSSS史上最大の暗号資産没収だ。多くの犠牲者が信頼を搾取された」 。
- DOJ刑事部長Galeotti氏:「市民を保護し、詐欺師を追及し続ける」。
Tether CEOのコメントと規制への姿勢
- Paolo Ardoino CEO:「我々は透明性とコンプライアンスを重視し、ステーブルコインの悪用を防ぐリーダーとなる」。
- 合衆国議会で可決されたGENIUS法(Stablecoin規制法案)にも積極対応中で、悪用防止のための凍結機能を実装済。
影響と今後の展望
ポジティブ視点
- 大規模没収と凍結実績により、Tetherの透明性と信頼性が向上
- ステーブルコイン発行企業として、業界の規制強化にも前向きに対応
ネガティブ視点
- 規制順守の一環ではあるが、引き続きステーブルコインへの不信感やプライバシー懸念とのバランス課題
- 今回も「民事没収」の形式であり、「刑事責任」が問われた詐欺主犯とは異なる点に注意
想定される影響銘柄一覧
| コイン | 影響度 | 主な理由 |
|---|---|---|
| USDT(Tether) | 高 | Tether社が関与しており、凍結機能や協力姿勢が注目される一方、規制強化懸念も再燃 |
| USDC(Circle) | 中 | 同じく米準拠のステーブルコインとして規制論議の流れを受けやすいが、Tetherとは独立 |
| BTC(ビットコイン) | 中 | 市場全体のセンチメントに影響。法執行機関の介入成功は長期的にポジティブ要素にも |
| ETH(イーサリアム) | 中 | USDTやUSDCが主にETHチェーン上で動くため、関連性あり。規制圧力の余波を受けやすい |
| MKR(MakerDAO)/ DAI | 低~中 | DAIは分散型ステーブルコインであるため直接的な規制対象ではないが、ステーブル議論の影響はありうる |
| OKB(OKXのネイティブトークン) | 中 | 今回OKXが当局と協力したことで評価上昇の可能性。ただし国別で反応は分かれる |
| Monero(XMR)など匿名通貨 | 中 | 当局の摘発強化により、マネロン用途回避を警戒した資金が流入する可能性(短期限定) |
考察
今回のケースは、単なる没収ではなく、「業界と法執行機関が協力して素早く資産凍結・没収に踏み込んだ」点で画期的です。Tetherのような主要ステーブルコイン発行者が透明性と積極的な協力姿勢を見せたことで、業界の信頼構築に重要な一石を投じました。
ただし本質的な課題は解決していません。ピッグ・ブッチャリングなどの詐欺が横行する背景には、ソーシャルエンジニアリングや国際的マネーロンダリングの高度化があり、それらを根絶するにはさらに包括的な教育・規制・技術革新が不可欠です。
- 今後も、Tetherのような“ステーブルコイン大手”は、規制当局との積極的協力と技術投資を続けていくことで、更に信頼性を高める正のスパイラルに乗るでしょう。
- 一方で、詐欺手法の高度化は今後も続く予想。被害を防ぐためには、一般利用者への啓発強化と、よりリアルタイムな凍結技術の両輪が求められます。
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