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仮想通貨とWeb3の最新ニュースの解説

米財務省が仮想通貨含み益を最低税から除外、企業トレジャリー戦略に追い風

CAMT(法人代替最低税)の対象から仮想通貨の未実現益が除外された
 米財務省とIRSが発表したガイダンスにより、仮想通貨の評価益がCAMTの課税対象から外れることが明確化された。
企業の仮想通貨保有に対する税務リスクが軽減
 評価益による追加課税リスクが回避されることで、企業が仮想通貨をトレジャリー資産として保有しやすくなった。
新ガイダンスは暫定的なものであり、今後変更の可能性がある
 正式な最終規則では除外範囲や条件が見直される可能性があるため、継続的なウォッチが必要。
他税制との整合性や適用範囲に関して不透明な部分も残る
 すべての仮想通貨保有が対象となるわけではなく、会計処理や資産評価方法により適用可否が分かれる可能性がある。
制度の変化が国際的な法人の仮想通貨戦略に影響を与える可能性
 米国の対応は、他国の税制整備にも影響を及ぼす可能性があり、日本企業にとっても今後の参考となる。

米国財務省とIRS、仮想通貨の未実現益を法人代替最低税から除外

トレジャリー資産戦略に追い風

CAMT(法人代替最低税)とは

2022年のインフレ抑制法により導入されたCAMT(Corporate Alternative Minimum Tax)は、非常に大規模な企業に対し、税務上の控除などを活用しても一定の税負担を求める最低税制度です。
対象となるのは、過去3年間の平均調整済み財務報告所得(AFSI)が10億ドル以上の企業であり、対象企業には財務報告ベースの所得に対して15%の最低税が課されます。

このAFSIには、公正価値で評価された資産の未実現損益も含まれるとされていたため、仮想通貨を保有する企業にとっては、評価益が発生しただけで課税される可能性があり、大きな懸念が広がっていました。

新ガイダンスにより仮想通貨の未実現益が除外対象に

米財務省と内国歳入庁(IRS)は、2025年9月に発表した新たなガイダンスにおいて、仮想通貨などのデジタル資産を公正価値評価している場合であっても、未実現損益をAFSIから除外できることを明示しました。

これにより、仮想通貨の含み益に対してCAMTが課されることはなくなり、保有企業にとって大きな負担軽減となります。
このルールは中間的なガイダンスとして発表されたものであり、最終的な規則は今後策定される予定ですが、企業はこのガイダンスを現時点で適用することが可能です。

大規模に仮想通貨を保有する企業、特にビットコインを企業資産として取り込んでいる戦略企業にとっては、数十億ドル規模の課税リスクを回避できる意義のある変更となります。

ガイダンスの適用によるメリット

税負担リスクの緩和

評価益が未実現のままでも課税対象となるリスクが回避されたことにより、企業は市場価格の変動に左右されず、長期的な保有戦略を取りやすくなります。

財務予測の予見性向上

未実現益を考慮する必要がなくなることで、財務上のシナリオ分析やキャッシュフロー管理の予測精度が向上します。

トレジャリー戦略の後押し

仮想通貨を現金や国債などの代替資産として企業が保有するケースにおいて、税制上の障壁が一つ減ったことになります。これは今後の導入拡大に寄与する可能性があります。

市場に対するポジティブなシグナル

仮想通貨に対する規制当局のスタンスが柔軟であるという印象を市場に与えることで、投資家や企業の信頼感を醸成する材料にもなります。

留意すべき点やリスク

中間ガイダンスである点

今回のルールはあくまで暫定的なものであり、最終規則で変更される可能性があります。除外範囲が縮小されるリスクや、適用対象が制限されることも想定されます。

適用条件の限定性

対象となるのは、公正価値で評価された仮想通貨に限られます。取得原価ベースで計上されている資産などには同様の扱いがなされない場合もあるため、企業の会計処理方法に依存する部分があります。

他税制との整合性

CAMTは最低税であるため、通常の法人税制度やキャピタルゲイン課税と並存します。他の税務制度と矛盾が生じる可能性もあるため、今後の調整に注目する必要があります。

損失計上の取り扱い

評価損についても同様にAFSIから除外されるのか、または含まれるのかという点については、今回のガイダンスでは明確にされておらず、企業側の解釈と判断に委ねられる部分があります。

今後の展望

今回の措置は、仮想通貨を資産として保有する企業にとって大きな追い風となるものです。とりわけ、ビットコインを財務資産に組み込んでいる企業にとっては、保有による税務上のリスクが大幅に軽減されたことになります。

このような取り扱いが制度として定着すれば、仮想通貨の保有を検討する上場企業やファンドが増える可能性があります。特に資金調達やトレジャリー運用において、仮想通貨の利便性が見直されることにもつながるでしょう。

一方で、最終的な制度設計がどうなるか、また今後の政権や政策の変化によってこの優遇措置が見直される可能性もあるため、長期的には慎重な判断が求められます。

また、日本をはじめとする他国でも、法人による仮想通貨保有の税制上の取り扱いに変化が起こるかが注目されるところです。米国の動向が国際的な規範形成に影響を与える可能性もあるため、国内企業や投資家にとっても他人事ではありません。

このニュースの過去の類似事例との比較

2014年IRS指針による仮想通貨の基本課税枠組み

米国の仮想通貨課税における初期ガイダンスとして、IRSが2014年に発表したNotice 2014‑21が挙げられます。
この指針では、仮想通貨は「財産(property)」として扱うと明示され、売買や交換によるキャピタルゲインが課税対象となることが定められました。

注目すべきは、保有しているだけでの評価益(含み益)は課税対象とならず、「実現された時点」での課税とする実現主義の立場が採られていた点です。
今回のガイダンスでCAMTにおいても未実現益を除外するという方針は、この基本的な課税原則を再確認したものと位置づけられます。

ハードフォークやエアドロップに対する課税ガイダンス

仮想通貨の分岐(ハードフォーク)や無償配布(エアドロップ)に関する課税処理についても、過去にIRSから複数の補足的なガイダンスが出されています。
これらは主に「いつ所得として認識するか」「どのタイミングで課税対象となるか」といった個別取引の取り扱いに関するものであり、制度全体を左右する性格のものではありませんでした。

それに対し、今回のCAMTに関する措置は、特定取引ではなく「企業が保有するデジタル資産全体」にかかわる税制度上の大枠に関わるものであり、制度的な影響の大きさが異なります。

従来の法人代替最低税制度との対比

法人代替最低税(AMT)の考え方自体は長い歴史を持ち、1969年の米国税制改革にその起源があります。
この制度は、特定の控除や優遇策を活用することで法人税を大幅に軽減している大企業にも最低限の課税を行うという趣旨で導入されました。

従来の最低税制度では、資産の評価益など「未実現の利益」に課税を行うという考え方はあまり採用されておらず、課税対象は原則として実現所得に限定されていました。

今回のCAMTに関する議論では、AFSI(調整済財務報告所得)に含める資産の範囲として仮想通貨の含み益を対象とするか否かが焦点となっており、これまでのAMT制度とは異なるアプローチが検討されたことになります。

他の金融資産と仮想通貨の取り扱いの違い

企業が保有する資産としては、株式や債券、不動産、外貨などもあり、これらについては既存の会計ルールや税制上の取り扱いが整備されています。
多くの場合、保有中の評価損益は会計上認識されても、実際の税務では未実現の段階では課税されないケースが一般的です。

仮想通貨についても、同様に「評価益が出たとしても、保有しているだけでは課税されない」取り扱いを求める声が強く、今回のCAMT除外ガイダンスはその延長線上にあるものといえます。
これにより、仮想通貨が他の金融資産と同じように扱われる方向性が強まったと言えるでしょう。

比較から読み取れる制度的意義

過去のガイダンスや制度と比較すると、今回の動きには以下のような特徴があります。

  • 既存の「実現課税」原則をCAMTにも拡張して適用した形であること
  • 仮想通貨を特別扱いせず、他の資産と同等の取り扱いに近づけた動きであること
  • 税務ガイダンスとしての影響が、特定の取引ではなく企業戦略全体に及ぶものであること
  • 最終的な制度設計の方向性を占う重要な中間ステップであること

今回の措置は、税務・会計上において仮想通貨がより成熟した扱いを受ける兆しといえる一方で、まだ中間的なガイダンス段階にあるため、将来的な制度変更や例外規定の導入などがあり得る点には注意が必要です。

関係者・企業によるコメントのまとめ

Strategy(旧MicroStrategy)のコメントと対応

大手ビットコイン保有企業であるStrategy(旧MicroStrategy)は、米財務省およびIRSの中間ガイダンスを受けて、仮想通貨の未実現益・未実現損失をCAMTの課税対象から除外する方針を採用することを明らかにしました。

企業側は「当社は今回のガイダンスに基づき、未実現のビットコイン価値に起因する代替最低税(CAMT)を支払う見込みはない」と表明しています。

この方針が明らかになった直後、同社の株価には上昇の動きが見られ、市場にも好意的に受け止められたことがうかがえます。

マイケル・セイラー氏のコメント

Strategyの創業者であり、ビットコイン支持者として知られるマイケル・セイラー氏も、今回のガイダンスに対してSNS上で肯定的な意見を表明しています。
同氏は、企業の仮想通貨保有に対する税務上の不確実性が払拭されたことを歓迎し、自社の戦略を正当化する内容として受け止めています。

このような発信は、他の上場企業や機関投資家に対しても心理的な安心材料となり得るでしょう。

Coinbase関係者の意見

米国上院で行われた仮想通貨課税に関する公聴会では、Coinbaseの税務責任者が「IRSは仮想通貨取引に関する情報の処理能力に限界がある」との懸念を表明しました。

特に、「Coinbaseだけでも提供される仮想通貨関連データは非常に膨大であり、現行のIRSの体制ではそれを完全に処理するのは困難である」との指摘がなされています。

この発言は、仮想通貨に対する課税ルールの実行可能性や、報告義務の過重さに対する制度設計の見直しが必要であることを示唆しています。

アナリスト・市場関係者の見解

金融機関やアナリストの中には、今回のガイダンスを「仮想通貨関連企業全体にとっての追い風」と評価する声もあります。

特に、仮想通貨を長期保有する企業にとって、未実現益への課税回避は財務リスクの大幅軽減につながるとされており、戦略的保有方針を再評価する動きにも影響を与えると見られています。

また、「仮想通貨が株式や債券と同様の取り扱いに近づいた」とする市場の声もあり、制度的な信頼性が一段階高まったとの評価も見受けられます。

仮想通貨CAMT除外によって影響を受ける可能性のあるコイン

コイン名影響度理由
ビットコイン(BTC)米上場企業(例:Strategyなど)が大量保有しており、保有継続や追加購入の動機が強まるため。市場の制度的信頼性にも直結する。
イーサリアム(ETH)一部の企業がトレジャリーとして保有を検討しているものの、BTCほどの機関採用実績はない。将来的な展開次第で影響拡大の余地あり。
ラップドBTC(WBTC)DeFiなどでBTCを活用するための手段であり、BTC価格と密接に連動。BTCの需要増加が波及する可能性がある。
テザー(USDT)ステーブルコインであり、含み益の発生を目的とした保有対象ではない。今回の制度変更による影響は限定的。
ソラナ(SOL)企業のトレジャリー資産として保有される事例は少なく、今回のガイダンスによる直接的な恩恵は乏しい。
マイクロストラテジートークン(MSTR連動型など)関連企業の株価上昇と連動した商品に対し、間接的な関心が高まる可能性があるが、暗号資産そのものではない。

仮想通貨CAMT除外による関連銘柄の価格・出来高の推移

ビットコイン(BTC)

価格の動向

ビットコインはニュース発表後、一時的に反発の兆しを見せましたが、全体的には113,000〜118,000ドルのレンジ内での推移が続いています。
直近では117,888ドル付近を推移しており、過去24時間では約0.03%の上昇となっています。

出来高と市場心理

取引量は依然として高水準を維持しており、ニュースを受けて一部の機関投資家による買いが入った可能性があります。
一方で、グローバルなマクロ環境(特に金利動向や地政学リスク)の影響もあり、短期的には方向感が乏しい展開となっています。

Strategy(旧MicroStrategy、MSTR)

株価の変動

ビットコインの価格動向と強く連動する同社の株価は、ニュース後に一時上昇したものの、直近では7%近く下落し、4月以来の安値を記録しました。
株式市場では、同社のビットコイン保有価値に対して株価が割安(ディスカウント)で取引されている状態が続いています。

出来高の推移

取引量は一定の流動性を維持しており、ニュースを契機とした一時的な取引増加が確認されています。
アナリスト予想によると、目標株価は平均で560ドル台となっており、投資家の一部には反発を期待する向きもあります。

その他の主要コインの概況

イーサリアム(ETH)

価格は比較的安定しており、大きな変動は見られませんでした。企業のトレジャリー利用としての採用事例が少ないため、今回のニュースによる直接的な影響は限定的と見られます。

ラップドBTC(WBTC)

BTCの価格とほぼ同一の動きをするため、連動して小幅な上昇を示しました。ただしDeFi用途が中心であるため、企業の財務戦略との直接的関連は限定的です。

総括:投資家の反応と市場の視線

今回のガイダンスは制度的な追い風と受け止められつつも、実際の価格変動には大きなサプライズとしては織り込まれていない印象です。
特にBTCはすでに多くの企業に保有されており、税務面での明確化が価格に与える影響は中長期的な心理面・制度面への安心感につながる程度にとどまっています。

一方、ビットコイン関連株(MSTRなど)は保有BTCの評価による投資家心理が強く影響するため、仮想通貨市場全体の動き以上にニュースの影響を受けやすい状況にあります。
今後は、最終的なルール確定や追加ガイダンスが市場にどのように影響を与えるかが注目されます。

考察

今回のガイダンスは、仮想通貨を保有する企業にとって税務上の大きな不確実性を取り除く重要な一歩といえます。特に米国においては、税務面の不透明さが企業の仮想通貨活用を妨げてきた側面があり、それが制度的に整備され始めたことは大きな前進です。

今後、他の資産クラスと同様に仮想通貨がバランスシート上に安定的に位置づけられていくことが、制度設計や企業のリスク管理にも良い影響をもたらすと期待されます。

ただし、このような取り扱いが長期的に維持されるかどうかは、政治・経済環境に大きく左右されます。企業としては制度に依存しすぎることなく、常に政策変更リスクに備える体制が求められます。

企業の資産戦略の中に仮想通貨が本格的に組み込まれる時代が近づいていることを示唆する動きであり、その動向を注視する価値はますます高まっています。

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